本欄本年11月30日付けについて、大阪地検刑事部副部長の野原氏から、調査結果の連絡があった。その内容は次の3点である。
1.原島検察官が被疑者に直接連絡したことは認めるが、問題ない。
2.原島検察官は、不利になるといった発言はしていない。
3.一方当事者の言い分のみでウェブ記事を掲載することは遺憾である。

分かってはいたが、検察庁は、弁護人が就いているときに、被疑者に直接連絡し、方針変更を迫ることに問題は無いと考えている。そこに、弁護人による弁護権や被疑者の当事者性を尊重するという姿勢は全く見られない。弁護士を無視して依頼者を直撃、というと、どうしてもヤミ金融を思い出してしまうのは私だけではないだろう。
何度も信頼が地に落ちている検察庁の信頼が更に落ちる先がどこにあるのかは難解な問題であるが、こういう糺問的姿勢を反省しない検察庁に信頼回復の道はない。

また、原島検察官は、被疑者が弁護人に報告した内容を否認したそうだ。検察庁によると、原島検察官は、「被疑者という不安定な状況が長く続くのは望ましくない、検察庁としては早く処理したいと思っている」という趣旨の話をしただけだという(その余の話題もあったそうだが、野原氏が回答を拒否したので詳細は不明)。検察庁は、原島検察官を信用した。

双方の言い分が出揃ったところで「事実認定」上の評価を試みるならば、不利になると脅された、という被疑者の説明は、本件被疑者基準で言えば体験供述性が認められる。また、被疑者がありもしない脅された事実を弁護人に報告しても被疑者に利益はないから、虚偽供述動機に乏しい。
これに対し、原島検察官は、弁護人を無視して、わざわざ被疑者に直接連絡しているのであり、何らかの方針変更を求める趣旨であったことは明らかである。「被疑者という不安定な状況が長く続くのは望ましくない」という思いやりを伝えたいだけであれば弁護人に伝言を託せば良いだけである。そうすると、わざわざ直接連絡したことと、原島検察官の説明とは整合性がなく、信用できない。そもそも、長引いている原因は、原島検察官が弁護人同席を拒否していることにある。そのことを承知の原島検察官が、「早く処理したい」という思いやりを伝える電話に於いて、長引いている原因である、弁護人同席問題に言及しないことは、極めて不合理であって、信用に値しない。
そして、原島検察官には保身の利益があるため、その供述の信用性は低く見ざるを得ず、職業柄、言いがかりを付けられることへの自衛に知恵も回ろうところ、録音一つ、残していないとなれば、尚更である。
結局、原島供述は信用性がない。

以上が、双方の主張を検討した結果の、評価である。原島検察官の弁明内容に信用性が乏しいことからも、本欄本年11月30日付けの内容は正しいことが確認できた。
大阪地検は、反省もせず、自浄作用もない。ついでに事実認定能力も低い。と考える。
公平を期すため、双方の言い分を掲載し、後は世の人の評価を待つこととしたい。

(弁護士 金岡)