同じ日に勾留裁判と保釈裁判が飛び交った。

まずは、折しも保釈のセミナーを担当している時間に、逮捕された方から初回接見の要請があったもの。経緯があり、即、勾留阻止に動かなければならない案件と想像されたし、セミナーでも「速度命」と講釈を垂れている。帰路の新幹線を降りて直行し、被害店との交渉、関係者との打ち合わせなど、速攻で準備した。幸い親族も良く動いてくれ、翌々日の勾留請求段階では12点の資料をそろえて検察官に勾留請求しないよう申し入れることができた。検察官は勾留請求するも、裁判所は却下決定、準抗告なく確定した。

さらに、セミナー前日に保釈を請求していた案件も、本日、検察準抗告までもつれたが無事に釈放に漕ぎ着けた(金曜の保釈請求で、判断が月曜まで送られるのは原則、許容できないけれども、この件についてはしっかりした当初許可決定を得る上でも先送りを容認することとした。原理原則には振り回すだけの価値があるが、それでも振り回すだけが能というわけではない。)。
セミナーでも紹介したが「請求証拠開示を受ける前から任意開示に着手する」方法が功を奏した形で、そこそこ事件の構造をしっかり描けたことがよかったのではないかと想像する(検察準抗告棄却決定はまだ見ていない)。

釈放を争うこと1件でも、数時間と放置できない忙しさの中で着々と事実を積み上げ、評価を加えていかなければならない。ましてや2件である。それでも、どちらも釈放されたのだから言うことはない。

(弁護士 金岡)