民事の尋問で、こちらの依頼者がビデオリンクとなった。
勢い、ビデオリンク先の部屋まで着いて行き、なるほど証人からするとこのように見えるのかと言うことを確認してから、いざ尋問を実施した。
尋問を終えて迎えに行くと、依頼者曰く「ボワボワと反響して聞き取りづらかった」と。同席していた裁判所職員も「確かにそうでしたね」と。

聞き取りづらかったならそう言って欲しかったが、そこは性格によるものもあるだろう。聞き取る方に神経を使わせてしまい、肝心の証言に集中力を欠くようなことがあったとしたら申し訳ないと、反省しきりである。物見遊山気分で部屋を覗く程度では、全く至らなかったということである。

考えてみれば、刑事の検察側証人のビデオリンク先を確認したことはない。
聞こえ方によっては、大事なところで生返事を誘発してしまうかもしれない(活かす尋問が奏功しないということにもなりかねない)。示した資料が見づらく、期待した証言に繋がらないかもしれない。性格や関係性によっては、そういった事態を知らないままに尋問が進んでしまう事態もあり得よう。

自身が証人の場所まで行き、法廷との疎通状況を確認してなんぼだと、反省しきりである。構外ビデオリンクならともかく、同一庁内なら励行するようにしたい。

(弁護士 金岡)