京都弁護士会が、本年5月20日付けで、件名の意見書を公表した。
同弁護士会が以前から今回の法「改正」の如き動きに鋭敏な問題意識を持っていたことは見受けられたが、今回の意見書は差し詰め集大成であろう。
意見書名で検索すれば誰でも見られるので、関心の向きは是非一読を。

内容的には、拘禁系に一本化して作業や指導を義務付けることが国際法違反であり、また効果的な処遇とも言えないことを正面から指摘し、また、検察官が処分保留にした上で自ら「有罪」認定して生活の指導監督を行い得る危険な制度に警鐘を鳴らす等である。

日弁連が、今回の法「改正」を「長年にわたり国内外からの批判にさらされてきた「懲役」が、ついに廃止されることを歓迎し、今回の法改正により、受刑者の真の改善更生と円滑な社会復帰が促進されるようになることを期待するものである」等と楽観的に歓迎している(本年5月26日付け)ため、大方は良い方向と受け止めているのかもしれないが、京都弁護士会の意見を見れば、事態がそう単純ではないことは分かる。
日弁連が歓迎しているものですら時代錯誤であり、人権侵害的であり、ついでに水面下で濫用されかねない検察官権限が増大していることを看過している、ということを知った上で、各々が厳しい目を向ける必要があろう。

とりわけ、「処遇」の分野は弁護士の関与が手薄である(単位会でも、「刑弁族」と「処遇族」は縦割りのところが多かろう)。本来は刑事弁護士が知識と関心を持って実践していくべき領域であると思われ、京都弁護士会の意見書は格好の素材である。

(弁護士 金岡)