先日、本欄で取り上げた身体検査問題の続報である。
「弁護人としては、依頼者への不当な偏見は打ち払う努力が必要だろう。」と指摘し、もし要望があった場合は、理由を確認してから対応するくらいの姿勢が必要ではないかと論じた。

本日、そのようにして理由を確認させるよう求めていた案件の公判期日があった。
裁判所からは、身体検査をやると言われたので、「理由を確認させて頂くようお伝えしているはずですが」と突き返して待つこと10分(どうせそうなるだろうと予測して早めに出頭していた)、「やらないことにしました」ということで、拍子抜けだった(但し、公判中廷吏2名が傍聴席に待機していた)。名古屋高裁刑事1部、山口裁判長である。

以上の顛末は、次のように考えられる。
最高裁から御触書が回っているので、とりあえず身体検査を要求する。
しかし、抵抗されると、理由をうまく説明できないので諦める。
・・実に小役人的ではないかと思う。自分の頭で考えず、上の指示に従っていれば、それは楽だろう。しかし、問われて説明できないような要求をすべきではない(今回、私が難しい質問をしたわけではない。御触書によれば依頼者の危険性が否定できないから身体検査をすると言うことだと思うが、どうして危険性が否定できないと思うのですか、と尋ねただけである。)。身体検査を要求されることは屈辱的である。危険人物扱いは侮辱的である。そのような人の痛みに思いを致すよりも、上の指示に従っておこうという発想の方は、裁判官向きではあるまい。
実に残念な思いをした。

(弁護士 金岡)