予め言うと、本欄平成28年8月9日で紹介した、古田宜行弁護士担当の件である。
従って(今回は)私は当事者ではない。
ただ、掲載価値があると判断し、取り上げさせて頂く次第。

経過の詳細は前記記事(http://www.kanaoka-law.com/archives/255)を参照されたい。
勾留却下後、弁護人を同伴して出頭し、取り調べへの立会が拒否されるので取り調べ自体は実施されず、を繰り返すうちに、なんと再逮捕されたという信じがたい案件である。検察庁まで来ても取調室に入らない、という事態があるからと言って、再逮捕を考える方も考える方だが、逮捕を認めた裁判官の方はもっと深刻な病を抱えていよう。なお、逮捕状請求は、一旦は却下されたが、二度目に認められたという。
この事案、被害者はやはり被疑者本人(なお、その後、晴れて「無罪」判決を受けて確定しているとのこと)である。弁護人の弁護権侵害と構成することも可能であろうが、望ましくは被害者本人を原告とすること。今回、被害者本人が決断され、本年7月に国賠提訴に至ったということであり、以上の経過全般から、この問題に一石を投じることは間違いないだろう。

ところで、近時、日弁連は、弁護人の立会権の確立に向けた取り組みを始めたようである(残念なことに、単位会単位では「過負担」との反対意見も漏れ聞こえるようだ。法曹人口は明らかに過剰な域だが、局所的に見ると本当に人手不足、という状況が変わっていない。局所に人材を振り向ける工夫をすべきであり、増やしたところで何の解決にもならないことは、そういう「局所」で仕事をしないお偉方や、外野の業界からは分からないのだろうなぁ・・。)。当番弁護士運動が被疑者国選の拡大(尤も、未だ、逮捕段階からの被疑者国選、更に在宅段階の被疑者国選が残されている)に結実したように、準抗告や国賠を通じた地道な弁護実践が弁護人の立会権の確立に繋がるなら、なによりである。

ここで、(国際情勢には疎いが)アジアに目を向けると、韓国は立会権が保障され、台湾も保障されているようである。又聞きであるがモンゴルも保障されているとか。
「先進七カ国」などと先進を気取る日本だが、こと人権感覚においては、例の「生産性」発言を引くまでもなく、歴とした後進国である。国際機関から何度、指摘されても、遅々として改善が進まない様子を見ていると、「発展途上」国と言うことも躊躇われる。差し詰め「発展停滞国」とでも言いたいが、拗ねていても何も始まらない。
その意味でも、今回の国賠提訴は十分な賛辞に値すると言える。

(弁護士 金岡)