毎日新聞記事によると、緊急事態宣言を「評価する・しない」で言えば「評価する」が72%を占めた、という。
この手の質問調査に付き物の選択肢の乏しさが調査結果の価値を貶めているのはいうまでもないが(例えば「やむを得ない」を加えたらどうだろうか)、それにしても7割超が私権の制限を伴う公権力の発動を肯定的に評価するというのはどういうものだろうか。
幾ら言っても自分勝手に振る舞う層がおり、そいつらを押さえ込むために強権を発動せよと求め、自分には関係ないことと決め込むとしたら、それは甘いと思う。明日は我が身とも言うし、味を占めた公権力が暴走しだした時に止められる保証もない。
病理的な現象を抑止するために超法規的措置を用いる、と整理すれば、裁判の世界でも驚くことではないが(無理矢理併合罪加重を適用したがために、下着の万引きに懲役4年を科すこととなった新潟幼女監禁事件最高裁決定等)、あるところで手続をねじ曲げた者を、別の所では手続を守ると期待するのは愚かである。ましてや権力に、「必要があるから超法規的にやります」を許すようでは、自ら法治を放棄し、隷属を求めているようなものだと思うのだが。

(弁護士 金岡)