愛知県警、中警察署の事案である。
親族の接見禁止を準抗告で取り消させた上で(検察官は、被告人が親族に手紙を差し出す限度での一部解除決定にすら準抗告を申し立てていたが、数日もせず、大元の接見等禁止決定そのものをひっくり返した)、親族から一般面会を予約しようとしたところ、なんと「13日後まで面会枠がない」とあしらわれた、という。

そんな馬鹿なと、相弁護人(石川幸平弁護士)を通じて中警察署に抗議したところ、中警察署曰く、上記の根拠は「一般面会の枠は一日に3枠しかない運用である」という。

しかしそもそも、「一般面会の枠は一日に3枠しかない運用である」こと自体が、法的根拠を欠くものであろう。
処遇法上、被収容者1名の面会に関し1日の面会回数や面会時間を制限することは出来ても、全被収容者の一般面会総数を制限する規定はないし、施設管理上、一定の総数制限(早い者勝ちがよいのか、十分な面会枠を用意して、はみ出す分はお断りするのが公平かは、議論があろう)は有り得るにしても、大幅に(今回の場合、1面会20分とすると、9時~17時のお昼を除く7時間=420分のうち、一般面会に充てられるのは僅か60分という異常な制限である)総数制限することは、正当化しようもないだろう(少なくとも9時~17時で420分÷20分=21枠か、30分単位で14枠、そのあたりは最低線であるし、部屋数にゆとりがあれば倍増させられるはずである)。

てことで、すわ国賠かと構えていたところ、今回は先方から白旗をあげてきた。曰く、
・予約をしてもらうことで運用がしやすくなるものであって、そもそも予約がなくても直ちに拒むということはしていない(「枠」という概念自体がなかった!)、
・一般面会総数を制限する根拠はない(警察の恣意的な運用による)、
・「愛知県警察留置管理規程の運用」58条は、遠方の人の面会の実施に配慮する旨の規定がある、
のだそうである(因みに、上記「管理規程の運用」は、例規集でも中身を読めないから、今後、情報公開請求でもするしかない)。

で、本件の落着としては、なんと「13日後」ではなく「明日すぐ」の一般面会が可能になった。全く根拠もなく合理性もなく、12日も面会妨害していたとは、見下げ果てたものである。

本欄では、「机」の件など、処遇上のおかしな点について、弁護士が切り込んでいく余地が大きいことを時々、取り上げているし、処遇上の国賠も推奨している。そうでもしないと変わらないからだ。
一般面会について言えば、保釈の準備として迅速に一般面会を入れようとして、今回のように後ろの方に送られる事態が時にあるが、弁護士が手間暇を惜しまず(勿論周到に根拠法を調べた上で)抗議すれば、妥当な(遵法的な)解決を得られるものである。

(弁護士 金岡)