先だって「獄中日記」を取り上げ、刑務所処遇の貧困を内部から伝える価値がある趣旨の言及をした。
すると偶然にも、現在服役中の元依頼者から、刑務所処遇の実情を伝える手紙が来た。
刑事弁護をやっている以上、一定数の依頼者が服役を余儀なくされることは避けがたい。そのような依頼者と交流を保つことがそうあるわけではないが、一部の依頼者は年賀状から状況報告までくれたりする。なお、「もう出てこられないだろう」と覚悟を決めた依頼者に頼まれて、財産を換価し、そこから定期的な差し入れを行う等している案件もあるが、これは極く例外である。
話を戻すと、上記のように手紙が届いたのだが、「獄中日記」と同趣旨であったため、やはり得たりと、取り上げたい。
曰く、
・拘禁刑処遇になっても、教育一つ変わるわけではないが、いきなり配置転換され、良い気分はしない。
・被害者感情に思いを致せるようにという矯正処遇は空回りしていると見受ける。
・窃盗での服役者は、往々にして病的で、刑務所より病院だろうと感じる。
・仮釈放がほぼない状況で、更生や矯正に意欲を持てという方が無理。
・寒冷地であるのに暖房使用を制限され、予算がないからと爪楊枝の支給も止まる。
・視察委員会への苦情は医務関係が最も多いが改善の兆しはない。
・資格試験は、中高卒資格、そろばん、危険物取扱い、簿記程度。特別工場に配置されると特別な資格取得を目指せるようだが明らかにして貰えない。
こんな感じである。
被害者からすれば「図々しい」になるのかもしれないが、そうはいっても、確立した法制度として社会復帰を目指させようというのだから、もっと現場(服役囚)の声を拾うべきだろうと思わされる。
(弁護士 金岡)

















