本欄では何度か、肯定的に、接見予約制度を紹介している。

捜査段階の序盤のように、確実に会えなければその後の進行に致命的な狂いが生じかねない場合、可能な限り、接見の空振りを防止出来る予約制度は非常に有用である。
現行の運用においては、仮に予約した時間に接見に行き、そこに予想外の先客がいる場合や、後からどうしてもという弁護士が登場した場合、当事者で折衝するだけで、留置管理課に何か負担をかけるわけでもない。
代償は、接見予定が捜査機関に露見し得る、ということであるが、それはそれで問題ではあるものの、確実に接見予定をこなせる価値は非常に大きい。
なので私は肯定的に捉えているわけである(繰り返しになるが、予約せずに接見に行くことも差し支えない。先客がいて会えないとか、後から予約した弁護士が登場して折衝しなければならなくなるのは自己責任と言うだけである。)。

で、前置きが長くなったが、この接見予約制度が廃止の危険に晒されている。
ということは2025年9月時点で耳に挟んでいたが、しばらくは水面下で物事が動いていたようなので取り上げることを控えていた。
この度、たまたま愛弁の副会長が某会報誌にこの話題を書かれていたので、ああじゃあ書いても良いんだなと理解した。

本題だが、愛知県警は、いきなり、2026年1月1日から接見予約制度を廃止するという方針を弁護士会に突き付けた。
弁護士会は、それに反発して、まずは事前協議を行うべきだと押し返し、現在、協議が行われているようである(弁護士会内にはPTが立ち上げられた由)。
各地で、拘置支所などを一方的に廃止すると通告され、何を言っても既定路線で押し切られている事態が散見されるが、今回、なんとか押し戻せているのは幸いなことである。 冒頭に記したとおり、この制度は、弁護士が楽したいとかそういう話ではなく、接見という唯一無二の実効的な弁護活動の場を、確実に確保するための手段である。留置施設に事実上無制限に接見室が確保されており、およそ、「接見渋滞」が起こらない、というなら、こんな制度は不要であるが、名古屋市内でも、接見室が1つしかない留置施設はざらにある。そのため、予約制度を利用してすら「18時台を除き22時まで埋まっています」みたいな案内を受けることはざらにある。取りあえず接見に行って、会えなくて、出直して、ということをやっていて、被害を受けるのは、当の依頼者なのである。
従って、予約制度の廃止は、防御水準を格段に低下させる。制度を維持することに顕著な支障があるのであれば格別、そんなことはないのだから、防御権、弁護権を低下させることを正当化出来る、やむを得ない事由はなく、憲法違反である。

因みに、漏れ聞こえるところでは、
https://www.kanaoka-law.com/archives/1235
この国賠で県側が敗訴したことが、今回の廃止論の背景にあるそうだ。
私が原告の事案なので、自信を持っていえるが、この国賠は接見予約制度の当否と全く関係はない。この事案は、接見中の弁護人が、事情によっては部屋を譲っても良いと留置管理に伝えていたのに、それが刑事課に伝わらず、私の初回接見の窓口になっていた刑事課が、私に、その弁護人の意向を伝え損なったことが問題化したものだからである。
謎な噂(八つ当たり)もあったものである。

(弁護士 金岡)