昨日に引き続いて、今度は「法務・検察行政刷新会議」議事録について。
漸く第6回議事録まで追いついた。
のっけから委員が辞任したり、取調べ立会問題を議論するかを巡って真っ二つ等々、なにかと大変な会議ではあると聞いていたが、なるほど、なにかこう体面を保つために思い付きで設置された(ために議題の設定からして迷走している)感の否めない議事録読後感ではある。

辛うじて第6回は、くだんの取調べ立会問題を論じるかどうかを巡って各委員が当該問題への姿勢を露わにしながら意見を戦わせているので読み応えがなくもなかったが・・委員の中に「違法な取調べの抑止は、・・録音・録画で、これはほぼ完全にカバーできている」と平然と発言する者がいる(井上宏委員発言、議事録28頁)始末なので、その水準はお察しである。

あと、河合健司委員は、その裁判官としての御経歴に相応しく「人質司法」に反発して曰く、「裁判所の保釈実務を見てみますと、・・できるだけ保釈を認める方向に全体として舵を切っておりまして、・・裁判実務全体に定着しつつある」と論じている。
これに対しては、当然おきまりの論破が可能なのであるが、それはそれとして、昨日付け本欄で指摘したとおり、高裁単位の裁判官協議会の議論を踏まえて上訴保釈に揺り戻しが起きていると裁判所方面から公的に発言されているのに、二枚舌も良いところだと思う。無罪主張に対し実刑判決を受けた被告人が、上訴保釈を求めるも容れられず、上訴を断念した方がましではないかと言うところに追い込まれているという、一つの「人質司法」を、何十年と刑事裁判官をやっていても知らないものなのか(驚きと言うよりは、やっぱりそんなもんだろう、そんな輩が法壇に座っていては推して知るべしだ、という諦念に近いが)と、げんなりした。

(弁護士 金岡)