整理手続過程で争点に関する遣り取りを応酬させる傍ら、頃合いとみて証拠意見を提出し、そのように採用見込みがある関係で、保釈条件Aを緩和せよ、という申立を行うことはままある(例えば関係者甲との接触禁止を、甲の調書を大幅に同意して緩和を求める等)。
早期からしっかりとした弁護活動を行う上でも、保釈は重要であり、当初は厳しい保釈条件の下で保釈を得て、その後、弁護活動を加速させながら保釈条件を緩和させていくというのは、最近では珍しくもない工夫であろう。

さて、上記のように当初は厳しい保釈条件の下で保釈を得て、その後、弁護活動を加速させながら「結構な部分同意」意見を述べて保釈条件Aの緩和を求めたが一蹴されていたという事案があるが、この程、「取り敢えず裁判所に証拠を読ませるだけの儀式」的に公判期日を入れて証拠調べを行うや、あっさり保釈条件Aの緩和が認められた経験をした。因みに検察官の意見も、証拠調べ実施前後で「著しく不相当」意見から「不相当」意見に変化していた。

このことをどう見れば良いのだろうか。
弁護人が保釈裁判を有利に進めるために嘘の証拠意見を提出し、有利な判断を得るや、証拠意見を撤回する・・などという事態は、(全国を探せばあるのかも知れないが)未だに見たことも聞いたことも考えたこともない。
そうすると、「結構な部分同意」意見を述べた時点で保釈条件Aの緩和がされてよい筈であるが、何故そうならないのか。

A説:裁判所は、現に証拠を取り調べるまでは、証拠意見の撤回があり得ると疑うものである。
B説:そこまで疑いはしないが、「結構な部分同意」にかかる書証を現に読まなければ緩和に踏み切って良いか判断が付かないので証拠調べを先行させたい。
C説:検察官の意見が緩和されたから忖度した。

さて、どんなものだろうか。
もしB説が正しければ、「結構な部分同意」意見を述べた同意書証を全て保釈請求書に添付して強制的に読ませるという方法もあるのかも知れない(それに近いことをやっている事案も無いわけでは無い)。他方で、裁判官によっては「週末、一件記録を読み込みたいので、判断は先送り」などと不同意書証を丸ごと読み込んでいることを公言する類いもいる(第1回前の裁判官と受訴裁判所とで温度差がある可能性はある)。もしそうなら、B説は成り立たず、A説的に理解するしかないのだが、それでは心外である。

・・実際のところ、検察が強く反対しないなら、まあいいか、というオチかもしれないけれども。

(弁護士 金岡)