本欄2022年12月29日で、「控訴趣意書差出し期限は、名古屋高裁の場合、こちらの予定を確認せず一方的に指定される」と書いた。かなり否定的にである。

その後、控訴趣意書差出し期限を巡って名古屋高裁と深刻な諍いが生じたのであるが(そのことは時期を見て記事にしたい)、近時の新件(原審が支部係属で控訴審から受任、無論私選である)の控訴趣意書差出し期限について、名古屋高裁から「控訴趣意書の期限を決めようと思うが、それに関して弁護人のご意見あれば、お伺いしたい。」という連絡を受け、面食らった(なお、なにも伏線なくこうなったのではなく、前記諍いを受けて、「弁選提出予定の弁護人を無視して、こそこそ手続を進めるな」という趣旨の申し入れを行っていた、という経過がある)。

面食らいはしたが、運用としてであれ、意見を述べる機会を得て悪かろう筈は無い。早速、現状の準備状況を説明して、このように指定してはどうかという提言を出した。
先の記事にも書いたが、意見を述べた上で決められたことは、後の変更幅が狭まる気もしなくはない。その意味では自分の首を絞めかねないところもある。しかし、健全な刑事弁護は、争点整理や審理計画を主導していくことも織り込み、必要相当な速度、期間を見据えて、練り上げる必要がある。争点整理や審理計画を主導すること無くして、達意の弁護は実現しない。その意味で、双方にとり、良い試みと思う。

(弁護士 金岡)