本欄でお馴染みの話題。

木曜の夜に遠方の接見に行き、受任した。
既に勾留裁判があったという。
さて、なにはなくとも勾留状謄本がほしい。
しかし、金曜に弁選を発送して同時に交付申請をかけても、発送処理は月曜、そうすると到着は火曜になる。それでは勾留期間の半ばが経過していることになる。到底、迅速に身体拘束の適否を検討することにならない。

そこで例の如く、ファクスによる事実上の交付の先行を求めたところ、裁判所より「検討の結果、今回に限り」交付に応じるとの連絡があり、事なきを得た。金曜夜の接見から活用できるわけである。
こういう条件付きなので、裁判所情報は秘匿しておく。
ともあれ、身体拘束権限を持つ機関が、その責任の重さに鑑み、自ら進んで弁護人による監視を受けることに応じる姿勢は見上げたものである。見上げた姿勢こそ、実名で顕彰したいのに、出る杭はなんとやらと慮り秘匿しなければならないのはおかしな社会である。

裁判所への申し入れは以下の通り。期日は迫るわ、法律相談は殺到するわの最中、3分くらいで書き上げた。
(転載)
追って、勾留状謄本の交付に関しては、本日、申請書及び弁護人選任届の原本を関係各所に発送済みですが、事柄の性質上、ファクスによる事実上の交付を先行させて下さい。弁護人は、週内にも準抗告を検討する上で、速やかに正確な被疑事実の把握を必要としておりますところ、仮に上記各原本の到着を待っての返送処理となると、被疑事実の把握が火曜日ころとなり、勾留裁判(水曜日)から当初勾留期間の半ばを経過させることとなり著しく不相当です。
そして当弁護人の経験上、愛知県若しくは岐阜県、三重県の支部を含む裁判所において、名古屋地裁本庁管内の当職に対するファクスによる事実上の交付実例が多数ありますので、御庁において今回、上記事情に鑑み、本日中にファクスによる事実上の交付を先行させることは容易かつ実務上の可能な取扱です。

(弁護士 金岡)