先日の「勾留延長の内容が分からない」の続きである。

国賠訴状の書き出しはこのようになった。
「本件は、刑事被疑者である訴外Sの弁護人である原告が、2024年1月19日(金曜日)、岐阜簡易裁判所裁判官高山尚之によりSに対する勾留期間延長決定がなされたことから、同決定に対する準抗告を検討するために即時の勾留状謄本の(写しの)交付を求めたところ、裁判所においては不可能であるとしてこれを拒否された上に、勾留期間延長理由の要旨や延長日数の説明要求さえも拒否され、その結果、同年1月22日(月曜日)まで勾留状謄本の写しの交付を受けられず延長内容の要旨を知ることもできず、これにより3日も、準抗告申立の遅延を強いられたことに対し、所要の国家賠償を請求する事案である。」

勾留期間延長決定が出たと判明して5分で交付申請をしたというのに、謄本も写しも残さず原本は出払いました、延長内容の要旨の説明は拒否します、という、異常なことをやらかしたのは、岐阜簡裁の高山尚之裁判官である。

大方は御承知であろうが、この問題については、刑訴規則が勾留状謄本の交付申請制度を置いていることに対し、実務では「写し」を貰うことが多い、という歴史的所産、そして、最高裁の2015年11月18日、「被疑者の弁護人から勾留状謄本交付申請がなされた場合の取扱いについて(事務連絡)」を踏まえる必要がある。

同事務連絡は、「弁護人が速やかに被疑事実や被疑者が勾留された理由等を把握し、弁護活動を開始できるように、迅速に謄本を交付してほしいとの要望が出されることが多く、その重要性に鑑みると、裁判所としてもできる限りこれに応じる必要があります」としているのであり、決して、謄本も写しも残さず原本は出払いました、延長内容の要旨の説明は拒否します、という事態を許していない。
敢然と、国賠に進むしかない。

(弁護士 金岡)