同じ系統の話題が続くが、今回も身体拘束にかかる裁判絡みの愚痴である。
これが偽らざる裁判の現場で起きていることだということを、しつこく言い続けるしかない事態なので仕方が無い。

それにしても、信じがたいことが続く時は続くものである。
(というか、同じ裁判体が次々と問題を引き起こしてくれる)

【1】
本欄本年5月11日付けでは、名古屋地裁刑事第4部の準抗告審の判断理由がひどい、ということを指摘した。同一事件で逮捕勾留を繰り返して濫用的であると主張したことに対し、一言も触れずに棄却することを繰り返しており、無能か無気力かは知らないがゴミ屑同然の決定書であると評価した。

本欄本年5月24日付けで報告した、断りも無く判断を翌日送りにして、さっさと帰宅してしまった連中も、同じ名古屋地裁刑事第4部の面々である(詳細は後述)。
書記官の不手際と言うことで謝罪されたが、私の意見としては、弁護人の主張に取り合うとか、その向こうに自由の回復を希求する生身の人間がいるということに思いの至らない、この部の方々らしい仕打ちだと思っている(謝罪させられた書記官は良い面の皮だと思う)。

【2】
更に更に、今回勃発したのは、「手抜きと予断まみれの裁判体」というべき事態である(それだけではないので報告事項は2つになる)。

この事件の被告人は、3度に亘り逮捕勾留されたことで、様々な合議体の判断を受けている・・と言いたいところであるが、第2次逮捕勾留以降は主に地裁刑事1部の裁判官が手分けして勾留したり準抗告を棄却したりし、第3次逮捕勾留以降は地裁刑事第4部の面々が手分けして勾留したり準抗告を棄却したりしている。
第3次逮捕勾留の勾留準抗告、勾留延長準抗告を棄却し、要するに「50日~60日」もの捜査の必要性を是認した合議体の、左陪席が、保釈の担当であり、その保釈却下決定に対する準抗告審の担当裁判官が、残りの2名+、第2次逮捕勾留当時活躍した地裁刑事1部の左陪席である、ということが確認出来た。
詳細は下表の通りであり、名古屋地裁刑事部には20名の裁判官がいるのに、7名で回している。

つい先日まで、「50日~60日」の身体拘束を当然視した裁判官3名(久禮、藤根、関和)のうち、1名(関和)が保釈を却下し、残り2名がその準抗告審を担当するとなれば、同僚どころか意見の一致を見た相手に厳しい判断は期待できず、結論は「お察し」であろう(先んじて残り2名の回避を申し立てたが当然無視された)。悪いことに、残り1名は新顔かと思いきや、第2次逮捕勾留で経験済みの左陪席を連れてくるというのだから、これはもう、わざとそうしていることが明らかである。
要するに、一から事件記録を検討する手間を省くために、「経験済み」の裁判官を集めてきて準抗告を担当しているわけである。
記録検討の手間が省ける理由は、先入観が既にあるからである。つまりこの準抗告審裁判体は、白紙の心証で臨むのでは無く、捜査当時の先入観を活用することを期待されて審理に臨んでいるのだから、結論が「お察し」の通りであるのは自明である。
これのどこが公正な裁判か、と思うわけである。

記録検討の手間を省くために、先入観を活用することを前提に意図的に編成された準抗告審裁判所・・おまけに先日まで同一事件で合議体を組んでいた面々。誰一人として、白紙の心証で虚心に事後審査してくれる等とは期待しないだろう。

第2次勾留決定     津島
接見等禁止決定     津島
勾留延長決定      吉田
勾留延長準抗告棄却決定 平手・津島・藤井
第3次勾留決定     平手
接見等禁止決定     平手
接見等禁止一部解除決定 津島
勾留準抗告棄却決定   久禮・藤根・関和
勾留延長決定      平手
勾留延長準抗告棄却決定 久禮・藤根・関和
接見等禁止決定     関和
保釈請求却下決定    関和
保釈準抗告棄却決定   久禮・藤根・藤井

 

小規模庁では日常茶飯事、という声もあるかも知れない。
しかし、裁判所の人的体制の前に被告人の憲法上の権利が後退を迫られるのはおかしいことである。そういう思考に馴らされたくは無い。

【3】
折角なのでもう一点、驚きの報告をしておこう。
今回、久禮・藤根+αの先入観裁判官3名に勿論、保釈不許可に対する準抗告を棄却されたのであるが、その理由の一節がこうである。

「本件事案の性質・内容、被告人と共犯者の各供述状況や関係性等に加え、今後の捜査の進展の見込み等も踏まえれば・・・4号所定の事由が認められる」

「今後の捜査の進展の見込み等」??
保釈許否の判断にあたり、「今後の捜査の進展の見込み等」が考慮されるというのはどういう意味なのだろうか。起訴された事件の捜査がこれから進展するということだろうか?それとも起訴されていない事件の捜査の話か?
どちらにせよ、もう全く理解すらできないでいるのだが、「保釈90」を編んだ時にも、(確認したわけでは無いが)「今後の捜査の進展の見込み等」なるものを考慮して保釈を不許可にしました、と述べた裁判例は見なかったと思う。
唖然とするほど異質で、これ真面目に反論しなければならないの?という思いでいる。

保釈許否の判断にあたり、「今後の捜査の進展の見込み等」が考慮される、などという珍答案を出されたなら、二回試験で不合格になるのがオチでは無かろうか。

(弁護士 金岡)