先日、本欄で「行手法を守らない名古屋市」と題する報告をした。
名古屋市長が、端から行手法18条1項を遵守しない運用を平然と行っている、という趣旨の報告である。
同事件は、不利益処分が予想されることから聴聞期日が設定されていた事案であり、私が代理人を受任して、聴聞に先立ち記録閲覧請求をしたことから、上記のような馬鹿馬鹿しい揉め事に発展したのであるが、もう一つ、期日調整でも馬鹿馬鹿しい揉め事に発展しているので取り上げておきたい。
代理人が就任した以上、その出頭権に鑑み、代理人が出頭できる聴聞期日でなければならないことは言うまでもない。受任時点で指定済みの期日は差し支えであったため、変更を求め、すんなり変更された・・・のではあるが、予め出頭可能な日程を事前調整してから指定して欲しいと求めていたのに、無視して一方的に指定された。
再指定後の期日も、差し支えであり、このような事前調整なしの一方的指定は弁護士に対する業務妨害である趣旨も含めた抗議を行い、且つ、再度の期日変更申請を行った。
しかし名古屋市長は、再度の差し支えに対し、再々度の期日変更を行うも、やはり事前調整は行わず一方的に期日指定をしてきた。またまた、差し支えであったため、再度の抗議と再々度の期日変更を申請した。
すると名古屋市長は、更に一方的に期日変更を行い、これまた、差し支えであり、本日、再々度の抗議と再々々度の期日変更申請を余儀なくされた。
一体、これは何をやらされているのだろうか。
誰も得をしない、何の役にも立たない、一方的な期日指定と期日変更申請だけが延々と繰り返されている。
行政側から見れば、「正当な不利益処分」は早期に行うことが法律上の使命であろうに、代理人の出頭が可能かを確認しないまま期日指定を繰り返すものだから、そのような役割が果たせていない。これでは適正な法の執行、という行政の役割放棄である。
他方で行政は、憲法に基づき手続保障を遵守しなければならないが、(出頭妨害こそないものの)事前調整を行わないものだから、結果だけ見れば代理人が出頭できない期日指定が繰り返されており、望ましい事態ではない。それどころか毎度毎度、抗議と期日変更申請を行わなければならない業務上の負荷が生じており、業務妨害じみている。
代理人弁護士と事前に期日調整を行わない、という主義があるのだろうか。
とにかく馬鹿馬鹿しいとしか言い様がなく馬鹿馬鹿しい事態である。
(弁護士 金岡)