全員が全員というわけではないにせよ、警察官の嘘には良く遭遇する。
勿論、保身や組織防衛のために偽証をするというのは良くある話であるし、弁護活動に対する悪意から嘘をつかれる場合も良くある。

今回は初回接見にまつわる話題である。
逮捕当日、初回接見のため14時30分ころ、中警察に連絡をすると、担当の大杉警察官(刑事課所属、「課長」と呼ばれていた)は「正式に逮捕したわけではない」「夕方くらいにどうなるか決まると思うので決まったら連絡します」という。
現時点で任意の取調べなら、その方が面会しやすいので、他の案件を投げ出し、ものの20分ちょっとで警察署に出向くと、「48分に逮捕しました」という。「夕方くらい」とか「決まったら連絡します」とか、全部、嘘である(既に逮捕状が用意されていたと考えなければ話が通らない)。想像するに、弁護人が介入するなら先に逮捕してしまおうという濫用的発想であるに相違ない。

「逮捕したのだったら今から接見します」「弁録も中断して下さい」と申し入れ、その後、大杉警察官は中警察署の4階(刑事課)と1階(受付付近)との往復運動を開始。
「いま留置場の空きを確認して返事待ちです」「接見室が空いてないと接見できない」などといって5分以上は待たされる(時計と睨めっこで2分ごとに責っ付いていた)。
そもそも接見室の空きの有無など電話一本で確認できるし、なんなら階段を駆け上がれば5階に留置場があるのだから、5分以上も待たされる話ではない。
ここでも露骨な時間稼ぎのための嘘が繰り返されていたと断じられる。

何度目かの言い合いの末に、やっと留置場に向かって良しとなり、接見室に入る。
で、待てど暮らせど、被疑者が来ない。
2分経過して説明を求めると、留置管理曰く「いま、連れてきているところ」。更に2分が経過しても「いま、連れてきているところ」・・4階から5階に移動させるだけに4分以上もかかる中警察署は、随分と巨大な施設であるに違いない。

話はこれで終わらない。
更に説明を求めると「いま、弁録中です」と話が戻ってしまった。
中断して面会する⇒留置場に連絡して部屋の準備中⇒部屋の準備完了⇒連れてきている⇒実は弁録中でした!という、嘘の連発である。
留置管理に「連行中」といっていたのに「実は弁録」だというのはおかしいだろうと指摘すると「連れてきていると言っただけです」という意味不明な回答。「弁録とは違うでしょ」と指摘すると、いけしゃあしゃあと「そうですね」という。捜査側と結託して弁護人を騙していることへの罪の意識すらない。

以上、警察官は相変わらず息を吸うように嘘をつく、という話である。

なお、司法修習生を同行していたが、「初回接見が全然尊重されていないんですね」と衝撃を受けていたようである。机の上の綺麗事が、嘘つき警察官により踏みにじられる現実を学べたことは、なにより有意義な司法修習だったのではないだろうか。

(弁護士 金岡)