今回は弁選であったが、「たかが弁選」では済まされない。
本年11月、愛知県警西警察署が、宅下げの弁選を無断複写していた事態が発覚した。

顛末はこうである。
依頼者からの宅下げ待ちで待っていたが、少々長すぎると思い、留置管理課の詰め所をのぞき込むと、担当官が「蓋の付いた機械」の蓋を持ち上げて宅下げの書類を出し入れしているところを目の当たりにした。
間違いなく無断複写だと分かり、出てきた担当官に、「何かコピーしていなかったか」と尋ねるも、最初はもごもごと答えようとせず、更に詰めると一旦は否定した。しかし、「あの機械を操作してたでしょ」と詰め寄ると、何度目かで漸く、無断複写を認めたので、直ちに廃棄するよう求め、目の前でシュレッダー破棄させた。

弁選と陳述書の宅下げであったが、無断複写したのは弁選だけだというので、(嘘か本当かは知らない)一応、その場はそれで収めたが、たまたま「現認」しなければ、そんなことをされていると気付くことも出来ないし、例のごとく数多いる嘘つき警察官にしらを切り通されていただろうと思うと、恐ろしいことである。

西警察署には、この種の行為が常態化しているのではないか、抗議書を送付して調査を要求した。
すると、本年11月19日、回答があり(例のごとく書面での回答は拒否するので、当然、録音した。書面での回答を拒否するというのは、訴訟等の有事に書証にさせず有耶無耶にしようという卑しい根性であろうと思う。)、曰く、「西署では複数の留置管理官が、弁護人の連絡先を確実に把握するため弁選を無断複写することが常態化していた。行政庁として不相当であるので指導を徹底する。」とのこと(警務課長、近藤氏)。

秘密交通権に弁えがなく無断複写に抵抗がない警察官がうじゃうじゃいるとなると、「この遣り取りは警察として押さえておきたい」くらいのノリで、弁選以外の宅下げ文書が無断複写されていることは当然、覚悟せざるを得ない。
賢明な弁護人は既に、被疑者ノートに手書きして貰い、接写の上、被疑者ノートの該当箇所を塗りつぶすよう指示することがあるが、今後益々、そのような防御策も活用しつつ、無断複写に対応せざるを得ないだろう。

(弁護士 金岡)