今時、当初勾留に対する準抗告の一つや二つを逐一、取り上げる必要もないが、今回、少し試みてみたことがあるので、取り上げておこうと思う。
まず事案は、未成年者を含む複数名による傷害、恐喝等の事案である。
急遽、日曜日に舞いこんだので(やむなく)自分で動くことにした。
事件の見立てとして、被害者との間の問題解決が最優先と考えてこれに着手し、示談成立後に(後述の通り検察官に釈放を促すも拒否されたので)準抗告に及び、無事に認容されたものである。
決定の要点は次の通りである(名古屋地決2026年8月28日)。
「・・・当該示談の中で、共犯者Aとの関係断絶を誓約していること、被疑者の両親がその身柄を保証し監督する旨の陳述書を作成し、同両親の負担で上記示談金が支払われたこと等の事情も併せ考えると、罪証隠滅の客観的可能性はなお残るものの、主観的可能性は大きく低減し、前科前歴のない被疑者について、逃亡のおそれも低減しており、現時点では勾留の必要性は認め難い」
私自身は、罪証隠滅を、客観的可能性と主観的可能性に分けて議論するのは好みではないが、今回の場合、示談に臨む被疑者の態度や、それを実効的に援助した両親の対応を踏まえて、「少なくとも、余計なことをする気はなさそうだ」という心証形成に繋げることは十分に期待できる事案であり、正にそのような決定になっている(因みに出房拒否していたが、だからといって余計なことをやらかす主観は認定されていない)。
ところで、最近、扱った捜査弁護の一つは、性犯罪であり、被害者の意向が正に起訴不起訴に直結しかねないものであったが、被害者の意向が揺れ動くため、検察官が(裁判所が短期間に制限した)勾留延長後、再度の延長を申し立てると同時に示談が成立し、検察官が一転して即座に釈放するという劇的な展開をたどった。起訴しようがなくなれば、ぱぱっと釈放する、というのは当然ながら潔い対応であった。私の方法論の中では、検察官となにか交渉することに意味はなく、言うべきこと、通したい道理があるなら、さっさと裁判する方が早い、というものであったが、こういう合理的な対応が得られるなら、その方が依頼者の利益にもなるのかもしれないと、少し感じたところがある。
なので、本件でも、示談成立の前日から検察官にその予定を明示し(手の内を明かす危険は低いと判断)、翌日の早い時間までに釈放の判断を行うよう要請してみた。「早い時間まで」と注文を付けたのは、釈放しないなら即日判断が得られる時間帯までに準抗告を出したかったからである。
ことの顛末は既に少しく述べたが、午後2時30分過ぎ(ほぼ約束通りの時間)に、釈放しないという連絡が来たので、数十分で準抗告を提出し、判断が出たのは午後9時30分を過ぎていたが、まあなんとか、その日のうちに家に帰れたのは幸いであった。
検察官の個性というのもあるし、事件の個性もあるので、釈放を働き掛けることで煩瑣な準抗告(なり勾留取消)を回避でき、早期釈放ということもあるのかもしれないが、上記の顛末は、結果的に見れば却って時間がかかっており(示談成立⇒即、準抗告なら、少なくとも午前中に事件係属させることは出来たのに、現実には夕方になったから、計算上は半日遅れである)、また、釈放しない理由が明らかにされるわけでもなく手続の透明性にも劣る。
やはり性に合わず、今後、今回と同様に根回ししたり早期釈放を要請したり、ということには消極に捉えている。
最後に余談。
釈放後、警察から取調べ要請があったので、同席を求めたところ拒否。
そうすると釈放前に引き続き取調室には入らないことになると思うが、それでも出頭する必要は?と聞くと、「最近では、無駄な出頭だから意味が無い、という風潮もあるが、来て貰えれば、それはそれで記録に残せるから有り難い」のだそうだ。弁護人同席要求の浸透が窺える。
(弁護士 金岡)

















