古くから指摘されていることだが、刑訴規則は、検察官請求証拠について弁護人に開示させるに際しては閲覧機会を与えれば足りるとし、弁護人請求証拠について検察官に開示させるに際しては「提示して」閲覧機会を与える必要があるという、不公平な取扱いの差異を設けている。
日弁連はその改正を求めているが、一向に改まりそうにもない。
しかし、整理手続においては、この規定は踏襲されず、互いに閲覧機会を与えれば足りるということになっている。

このほど、検察官から請求中の弁号証である学術意見書の脚注文献の任意開示を求められたのだが(その方法が、裁判所へ求釈明申立、という形態を取られたのには些か驚いた)、当然に応じるとして、任意開示についても少なくとも「提示」義務はないと解されることから、検察官には「来所して閲覧するか、有料コピーにするか」と提案したところ、貸出を希望された。
所詮は文献の写しなので貸出に応じても害はなかろう・・ということで、着払いで送ることにしたのだが。

今後、検察庁が「閲覧に来い」といったら、「貸し出せ」と言ってみたいものだ。勿論、原本性のあるものは責任を取れないので持ち出し禁止はやむを得ないとして、原本性のないものは貸し出して貰って罰は当たらないはずだ。

(弁護士 金岡)