研修に季節があるわけでもないが、この秋、他会の刑事弁護研修を3件、引き受けている。

岐阜 9月 要通訳事件(済)

富山 10月 捜査弁護(予定)

和歌山 10月 反対尋問(予定)

日弁連の講師派遣の中でも、要通訳事件は初の実施例だったらしい。考えてみれば当然のことながら、まずもって需要の地域差が激しい。要通訳事件が珍しい地域では、このような研修の需要はない。実際、今回の研修準備で下調べしたところ、高裁を抱える仙台地裁や広島地裁より、岐阜地裁の方が、年間を通して要通訳事件の係属件数が多いということがわかり、些か驚かされた。愛知県下のように、空港がある、自動車産業が盛ん(=発展途上国との事業上の交流が活発)、地場産業が盛ん(=研修生の受け入れが活発)という条件が揃うと、必然的に要通訳事件は多くなり、私が引き受けていた刑事事件の25%程度が要通訳事件だった時期もあるほどだ(事件を選べた時代は、要通訳事件は敬遠される傾向があり、敬遠しない弁護士に集中したという背景もあるが)が、岐阜も地場産業が盛んなためか、そういった要素が相応にあるのだろう。

もう一つ、入管法・入管実務は弁護士にとって少々、縁遠い存在である。法整備が不十分で、法の及ばない実務運用や慣行が支配勝ちな分野である上、部分的には立法が活発であるため、普段扱わないとさっぱり分からない、という特殊分野であり、おまけに弁護士代理を排除しようという方向もあるので、ますます縁遠くなる。結果、入管法・入管実務まで目配りして要通訳事件の研修を担える人材も(手前みそだが)限られる。

30名以上が研修に参加され、熱心に受講いただいた岐阜の諸先生方には、開催を決断されたことも含め、敬意を表する。

(弁護士 金岡)