言わずと知れた今回の7人の死刑執行(という名の大量殺人)について。
報道によれば、少なからず再審請求中であり、初めての再審請求中だった方もおられたということである。

現行法上、再審請求中の執行を禁じる規定はないし(再審請求中を6か月に算入しない規定はあるが、6か月未満だからといって執行が禁じられているわけでもない)、再審請求を執行停止事由とする明文規定もないので、あくまで現行法の文理からは適法な執行ということになる。
しかし、(部分なりと)無罪を言い渡すべき新規明白な証拠が発見されていたとすれば、執行を強行することは冤罪による死刑執行であるから、許されまい。現にそのような請求が司法機関にされているときに、司法判断を待たず(あるいは先取りして)行政機関「ごとき」が執行に踏み切ることは、三権分立に反する。
また、現状は量刑再審は容れられないと言うが、「無期懲役にすべきだった新規明白な証拠」がある場合に死刑を執行することが認められないことは誰にでも分かるはずであり、そうであれば、第1審の無期懲役判決が控訴審で死刑に覆った、かの案件などは、もっともっと慎重でなければならなかったはずだ(報道によれば初めての再審請求を行って数ヶ月足らずとのこと)。

再審請求中は死刑執行しないという、ある種の不文律が無視されるようになった昨今、(手続保障や証拠開示方面なども勿論そうだが)再審手続の規定を更に整備し、原則的な執行停止効と、例外的に明らかに濫用と認められる場合の執行不停止を許容するとか、そういった手続整備が必要だと思われる。
特に死刑執行は取り返しが付かない。もし誤った執行だったらどうするのか、ということについては、死刑制度存置派こそ(私は無論、死刑は直ちに廃止にすべきだと考える)、十二分に考えなければならないはずである。手続の不備を放置し、再審請求の重みも無視し、軽々に執行したことには、慎重さ、真剣さが足りていないと感じる。

(弁護士 金岡)