先日、片山健裁判官(現・名古屋地裁民事第5部)に対し忌避を申し立てた。
余りに強引な弁論終結に対し、瞬発的に言わずにはいられなかったのだが、ここでの話題は、その後の手続的な処理についてである。

この事案は私自身が原告の国賠なので、弁論終結に対し,即時その場で申し立てられた忌避申立は当事者本人の陳述として、特に明確にされるべき口頭弁論期日調書の任意的記載事項である(民訴規則67条1項3号)。
忌避申立の有効要件は、書面によってするか期日においてするかであり(民訴規則10条2項)、任意的記載事項として上記の通り調書記載されることで、忌避申立が有効に為されたと証明することが出来る(民訴法160条3項参照)。

ところが、である。
直後に裁判所から送られてきた書記官名義の書面には、「弁論終結後にされた」忌避申立は「期日においてしたと扱うことができません」と明記され、従って有効な申立ではないから別途、忌避申立を書面でせよと指示されていた。そして事実、謄写した口頭弁論期日調書には忌避申立の記載がされていなかった。
驚きというか、なんというか。最も適切に言葉を選ぶなら「非常に情けない」であろうか。弁論終結決定と期日の終了とを混同している裁判官がこの世に存在するとは思わなかった。「弁論を終結し、判決言渡し期日はいついつにします」まで含めて期日なのに、と。

そこで調書異議を申し立てた(「期日において申し立てられたと明記しろ」と)ところ、「認めます」と、こうである。
過ちては改むるに憚ること勿れというから、片意地をはらなかっただけ、ましというものではあろう。
しかし、忌避という、そうそう多くは遭遇しない事態に対しては、前記書記官名義の文書にしても書記官独断と言うことはあるまい(裁判官が慎重に検討した結果であろう)。余りに基礎的なところで大失敗をやらかす裁判官には「誰しも失敗はあるよね」と寛容になることは難しい。
こういう手合いだから、ああいう強引な訴訟運営を行って恥じることころがないのだろうなぁと、妙に納得した。

余談。誤りが訂正された調書は、また謄写し直さなければならないようである。裁判所の失態のせいで二重に謄写費用を負担しなければならないというのは、どんなものだろうか。

(弁護士 金岡)