本欄本年11月27日付けで、在宅被疑者が取調室に弁護人との連絡用の携帯電話を持ち込む件について、春日井警察所属の警察官がウソをついたことを紹介した。翌11月28日付けで、署長に対し、謝罪や改善教育の徹底を求める書面を送付し、10日以内の回答を求めたが、梨の礫である。
拘置所にしろ警察にしろ、自浄能力のなさは今に始まったことではないので今更、落胆すると言うほどではないが。

さて、ウソを糺した上で改めて取調べ条件調整をしようと試みていたが、どうやら検察庁に御注進が行ったらしく、副検事が直々に取調べをするという連絡が来た。ウソを認めた上で出直すのではなく、取調べを放棄して頬被りするという対応も、いかにも警察らしい対応である。

そして検察庁。
連絡用携帯を持ち込み弁護人からの着信にも備えるところまでは、とんとんと折り合いがついたのだが、今度は「ノートの持ち込み」で引っかかった。
担当、田中副検事によれば、「検察庁は、在宅被疑者が取調室にノートを持ち込み、メモを取ることは一切認めていない」、(法的根拠は?という問に対して)「法的根拠以前の問題である」のだそうだ。
余りの非常識ぶりに、流石に目眩を覚えた。
こちらは現在進行形なので、進展があり次第、紹介したいが、巷で話題の某著名人の事件で「身体拘束下の取調べに弁護人の立会が認められないという前時代ぶり」が槍玉に挙げられているところ、「在宅被疑者が防御のためノートを持ち込むことすら禁止される」というのは、国際人権水準的にはどう受け止められるのだろうか。

(弁護士 金岡)