1年半以上にわたり原子力損害賠償紛争解決センターで審理されてきたADR案件について、漸くセンターから和解案が示された。一言で言えば、東電の認容額と3倍以上の開きのある和解案であった。
すると東電から、和解案は呑めないという趣旨の「再考を求める」意見書が出された。

東電は今でもウェブサイトに「3つの誓い」を掲げている。その1は、被害者に寄り添った迅速な賠償であり、その3は、ADR和解案の尊重である。

主張に反する和解案は呑めないとだだをこねることは、その3に反し、結局、被害者救済が遅れるから、その1にも反する。
随分な態度だ。
外面は良く「3つの誓い」等と殊勝なことを言いつつ、実際にやっていることは真逆。世に羊頭狗肉とはいうが、東電のやっていることをみると羊の肉は「ゼロ」、羊頭狗肉どころの騒ぎではない。
恥を知るべきだ。

(弁護士 金岡)