本日、件名のとおりの最高裁判決が出た。
本コラムでも何度か、この話題を取り上げているとおり、私も(少し)関わりがある。

決定は、GPS捜査が「公権力による私的領域への侵入を伴うもの」と断じ、憲法35条を踏まえ強制処分に該当するとした。また、「被疑事実と関係のない使用者の行動の過剰な把握を抑制することができず」として検証令状説も否定した。

現時点では、注文どおりの決定と評価している。
この決定により、立法までGPS捜査は不可能であろう(補足意見では特別に慎重にやれば可能だという趣旨が書かれているが、多数意見は「事案ごとに・・・裁判官の判断により、多様な選択肢の中から的確な条件の選択が行われない限り是認できないような」強制処分であるとしているから、まず無理だろう)。
また、立法自体も、「被疑事実と関係のない使用者の行動の過剰な把握を抑制する」適切な条件設定を令状審査で行うとなれば、現実的に可能とは思いがたい。

結局、GPS捜査は、疑わしきは監視するという反憲法的なものだったということである。疑わしいと言うだけで、箪笥を漁りに警察官が家に無断侵入してはいけない。そうであれば、行動を漁りにGPSをつけ、私的領域へ侵入するのも同断である。憲法に忠実で分かりやすい、的確な判断だったと思う。

なお末尾ながら、私が担当していた国賠訴訟は、依頼者の事情により取り下げている。取り下げていなければ今回の最高裁決定の追い風を受けたとは思うが・・こうして何度か広報することとなり、一定の役目は果たしたと言えるだろう。

(弁護士 金岡)