安倍首相が籠池氏のことを「詐欺を働いた」と公共放送で断定したことが報じられている。一読して目を疑う発言であり、首相の資質云々の次元ではない。一言で言えば、その発言こそが犯罪である。

著名弁護士の指摘を紹介する報道では、同発言が司法の独立を侵すと指弾されていた。そういう側面もないではないが、それが本質ではない、と思う。その発言自体が籠池氏の裁判に持ち込まれることはあり得ないし、首相が詐欺師といったからには是非とも有罪にしようという「忖度」が働くほどの事案でもあるまい(原発訴訟や自衛隊がらみとなると裁判官に種々の圧力があることは方々で指摘されているが)。

それよりも、籠池氏の名誉の問題として論じなければならないのではなかろうか。
詐欺師と決めつけることは社会的評価を低下させる。
公共放送で詐欺師と決めつけることに公共の利害への関係性は皆無である。
もちろん公益目的からの発言であろうはずがない(御自分への追及をかわすために籠池氏側を悪者にしようというのだから純然たる私益目的である)。
単純に考えて、名誉毀損罪を構成する(刑法230条1項)。安倍首相が籠池氏の事件についてどのような情報をお持ちかは分からないが、捜査情報をお知りになる立場ではないから、真実と信じるに足りる相当の理由があるということもないだろう。

一国の首相が犯罪者。まあ、特定秘密、集団自衛権、共謀罪と、憲法や刑訴法を破壊し続けている御仁である。今更、驚かないが。

(弁護士 金岡)